2011年8月7日日曜日

AGAP


毎度のことながら更新が遅れに遅れて今にいたっているわけですが、書いておかなければならないことがありましたので、久々に書きます。
 というわけで、あなただけ、こんばんわ。山中俊太朗です。(この言い回しをわかる人が元々少ないこの日記の読者の中で何人わかってくれでしょうか。笑)
 さて、冒頭の書いておかなければならないことというのは、7/31に恵比寿リキッドルームで行われた、DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDENのライブを観に行ったことです。同バンドは、リッキドルームのバンド紹介によると「ジャズミュージシャンの菊地成孔がアフロ=ポリリズムを世紀末からゼロ年代の東京のクラブシーンに発生させ、持続させたファンクバンド。ポリBPMによるフェイズの深化、マイルス・デイビスのエレクトリックファンクと菊地雅章マナーによるマイルスを、クロスリズムのアフリカ的な実践によって、さらなる進化を世界で唯一実現したというバンド」ということです。
 私が菊地成孔という人を知ったのは、彼の文筆家としての仕事である、Fashion Newsにおいて連載されている「服は何故音楽を必要とするのか」というファッションショーにおけるウォーキングミュージックについての考察です。
 初めてそのコラムを読んだとき、まずその膨大で圧倒的な知識に由来する文章の難解さと圧倒的な読みにくさ、笑(注釈が多いため)に衝撃を受けたのでした。音楽的な考察とはいえ、ファッションについて書いてあるにも関わらずそこに書いてあることの半分も理解出来ないという始末で、私の高い鼻をデコピンで折られたような気持ちでした。折られたとはいえ、私は理解出来る、出来ないに関わらず、読んで知った気になるものより、書かれていることについてもっと知りたいと思えるものを読みたいので、いろいろな意味で良いコラムでした。そして、気になり始めた頃にちょうど、「情熱大陸」に出演しているのをたまたま見たときに、自分のタイミングの良さに驚きました。笑(そいうことってあるよね?)
 ただ、彼は何者かと問われれば、ジャズミュージシャンであったわけですが、エレクトロやロックがカッコいいと思っていた20歳前後の山中の興味はあまりジャズには向くことはありませんでした。これは愚の骨頂だというのは過言ですが、もっと早く聴いておけばよかったという後悔以外の何者でもありません。(しかし菊地成孔の言葉を借りれば、人は悔いを根拠にその後の人生を楽しく生きていく生き物だそうですので、そうします。)
 彼は、今現在3つのバンドで活動しており、それぞれテーマも編成も異なりますが、すべてにおいて素晴らしい作品を送り出しています。
 その中でも今回観に行ったDCPRGは私が好みの音楽を演奏しているバンドで、バンドのテーマや実験精神溢れる音楽性は私の中では彼が率いるバンドの中で群を抜いております。
 緊張と緩和という言葉で言い表すと陳腐な評論家の言葉のようになってしまいますが、私には音楽的に詳しい評価を出来る知識はありませんので、もうあれは聴かないとわからないとしかいいようがありません。ただ、あの複雑で緻密でありながらも、統一感を感じてしまうのは不思議な感覚であり、それが彼の才能なのでしょう。その場を完璧に統制しているにも関わらず、それを感じさせないのは彼の人間性ゆえのものでしょう。
 これ以上説明するのは無粋ですし、何より面倒なので気になったら、皆さんの大好きなYouTubeWikipediaで調べてみてください。
 今回何が言いたいのかといいますと、菊地成孔の何がすごいかということです。そのジャンルレスな活動や多才さはもちろんですし、そこに異論は微塵もありませんが、私にとっての彼の凄さは、自分の作品について自己批評的な視点を持ち、それを実践していることなのです。これは様々な表現活動が存在しますが、出来ている人はなかなかいないのでないかと思います。(ファッション界においては、このレベルで行っているひとはほぼ存在しないのではないでしょうか。)
 作品を通して自分の考えや意見を表現することが、プロのアーティストやクリエイターだという意見があるでしょうし、そう言った意見が間違っているとは思いません。ただ私は、自分の作った作品について、どう感じるかは見た人次第といっても、最低限の説明責任はあると思いますし、私は最低限では到底満足出来ません。
 これは菊地成孔に限ったことではありませんが、自分が為すべきことを理解し、そのことと真摯に向き合っている人は例外なくいい仕事をしているという事実はあると思います。これは私たちのような無名の人間にとっては唯一と言ってもいいであろう救いとなる事実ではないだろうか。
 そして、それゆえに私たちは、必ずいい仕事をすることを約束する。
ファッションでだ。笑

P.S 今回特にまじめですいませんでした。
山中

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