2012年10月22日月曜日

シャーマンの萌さんとクイーンの玲さん


 このところ更新が全くございませんで、セルフ放置プレイにも飽きました。
更新していない間、尊敬している方がこのブログを見ていたという黒の衝撃以上の衝撃が僕を襲いまして、ちゃんと書かなきゃなぁと少しだけ思ってしまいました。そんなことではまだまだですな。
 そんなことはさておき、今回は先日観たライブと、これまた先日観たパリコレクション2013ssについてちと放談をしてみようかと。
 まずライブの方ですが、最初から最後までやられっぱなしで尚かつ非常にカタルシスのある素晴しいライブでした。Moe and Ghostsというヒップホップユニットで、ラップ担当の萌とトラック担当のユージーン・カイムによるゴーストコースト(彼岸)ヒップホップです。今年の8月(彼岸)に佐々木敦の音楽レーベルHEADZからアルバム『幽霊たち』をリリースしデビューしたばかりですが、さすがです。ゴーストコースト(彼岸)ヒップホップで、デビューが彼岸で、アルバムタイトルが『幽霊たち』って。笑 この時点でもう完璧でしょ。一瞬われわれLeucadendronの為に存在しているのではないかと錯覚するくらいのシンクロ率。
 ライブ前にググってもメンバーの写真はほとんどなく、ひょっとしたらほんとに幽霊かもしれないと期待が高まりましたが、佐々木敦曰く、ギャルでもガーリーでもない全く新しいヒップホップとのことだったので、まず着ている服を含めたルックスが気になって仕方がありませんでした。声などから色々と想像を巡らせていたのですが、目の前に現れた女性は見事に、軽やかに、そして力強く予想を超えていった。
 彼女は全身黒のモノトーンで、髪は地面に届かんとするほど長い小柄の年齢不詳の人で、とてつもない力を内に秘めたシャーマンのよう。パフォーマンスも新しさとピュアネスに満ち溢れた素晴しいものでした。
 良いものを観た後には必ず心が洗われた様な清々しさを感じますが、今回のライブでも大いに浄化されました。カタルシスがないと語る意味がないですからね!!!!笑
 萌さんと幽霊たち、それとゲスト参加し自称日本で100番目に巧いサックスを演奏していた大谷能生氏。本当に良いライブをありがとうございました。
 フロントアクトで蛍光灯の放電のノイズで演奏をしていた方も素晴しかった。是非何かでご一緒したい。You tubeなどでPVが見られるので興味がある方は是非。
 続いては、皆さん大好きなパリコレクションなどについて少々。興味ないですか?そうですよね〜。
 ここで何も知らない俺みたいな奴がファッションとその周辺の事を書くと意外と反応があるので、あまり気が進みませんがちょっとだけ。
 まず、はじめに今回はパリコレクションのいくつかのメゾン、ブランドに見られたアーカイブのアップデートという視点から見てみたいと思います。
 まずは、今回のハイライト中のハイライトと言っても過言ではないRaf SimonsによるChristian Dior
 RafによるDiorは本当に素晴しいコレクションでした。さすが!感動した!
 RafDiorに関しては、デビューとなるHaute CoutureにおいてもRafらしいDiorが表現され、賞賛されていたわけですが、今回のprêt-à-porterでもHaute Coutureの路線を踏襲しながらも、色使いや素材感にRafらしさがさらに色濃く反映されていて、写真からでも伝わるそのピュアネスに感動し、浄化されました。モードと呼ばれるファッションに興味を持つキッカケとなったデザイナーの中でも10代から憧れていたデザイナーがChristian Diorでクリエイティブデザイナーとして活躍しているのは何か感慨深い。
 このRafによるDiorにおいても、アーカイブの研究をベースとして、現代的にブラッシュアップしていることは、誰の眼から見ても明らかです。しかし、VogueでのインタビューでもRafは語っていましたが、アーカイブをどのように解釈するかというその視点にRafのらしさがあるのだと思います。表面的なデザインに留まらず、そのデザインに込められた意味やメッセージを丁寧に読み取るその審美眼と、そこに新しいエッセンスを加える事で現代的なものをデザインするということに関して、Raf Simonsはまた新たな可能性を示したと思います。今後のコレクションの楽しみが一つ増えました。
 そして、タイトルにもあるのでクイーンの玲さんこと川久保玲率いるcomme des garconsですが、一見するとCdGとしては可も無く不可も無く王道といった感じ。CdGにしては通常業務というか、特段驚きがあるようなコレクションではなかったのですが、ただ、今までのコレクションでは感じる事の無かったもの感じました。それに関しては後ほど。
 Graham Hudsonによる王冠のようなヘッドアクセサリーはコレクションとの親和性も高く、コレクション全体の完成度を高める事に大きく寄与していたと思いますし、何より個人的に好き。笑 服はレディースだし着られないけどけどあれは欲しい。笑 
 有名ファッションメディアはCdGらしいコレクションで良かったんじゃないかといった感じの論調(僕の英語力での斜め読みなので、誤訳の可能性と誤訳したいという意思が満ち溢れているので悪しからず)の様子。決して良くないということはなく、らしいコレクションでした。
 そして、僕が感じたCdGの今までにないものです。
 CdGについても、あまり詳しい指摘はされていませんのであくまで僕個人の見解ですが、今回川久保氏は、ある程度意識的にCdGが自らのアーカイブの再編集+αという形で新しいものを生み出そうとしたのではないかということです。
 ここで、この部分がいついつのコレクションからと指摘してもいいのですが、ただでさえ読まれないブログでそんなことしたらもっと読まれなくなるのでまた別の機会に書こうと思いますが、僕はこのことから、クイーン玲さんこと川久保氏が将来的に一線を退かれた後のことまでをも視野に入れ、新しいフェーズに入ったのではないかとも考えてしまいました。とは言ったものの、まぁ可能性は松坂がRedSoxに残留できるよりもゼロに近いでしょうし、この指摘が正しいかどうかは次のコレクションまで分かりません。もし当たってたら褒めてください。笑 
 いずれにせよ、そういった所に今までとは違った新しさを垣間見たように思います。
 他にも好きなコレクションはたくさんありましたし、エディのサンローランもあるし、東コレもあるので、近いうちにまた更新したいと思います。
 それでは。