2013年3月5日火曜日

たまには無題


世界の、特にパリの皆様、こんばんは。
花粉との戯れをなかなか楽しむ事が出来ずに、毎日、杉の木を一本ずつ切り倒すことを日課にしながら、山中です。もちろんウソです。ウソですが、やれるなら やってやりた 本当に。短歌みたいになっちゃった。テヘペロ。
 パリでのファッション狂想曲もそろそろ鳴り止みそうな今日この頃ですね。コレクションの様子を、写真や動画などで見るのも好きですが、style.comのファッションスナップがとても面白く、コレクションのルックを見るのと同じ位好きです。東京のファッションスナップは以前の様な輝きは失われておりますが、世界中のファッショニスタ達(特にモデル)のスナップは超楽しい。
 何が良いってあんた、お祭りムード満点で浮き世離れしたあの感じですよ。ただ、宇宙人みたいな(いや、宇宙人に違いない!)モデルたちがキャットウォークではなく、街角に存在しているだけで、彼女達が身につけるモードな服がリアリティを有し、「あれっ?コレクションでしかきれないだろうなと思ってたけど意外とアリかも」と思わせてくれる彼女達を見るのは、それだけで小躍りしてしまうくらい楽しい。実際に行ったら多分引くね。笑
 とは言え、主役はやはり服である。今回は現在のところ(主役級のブランドはほぼ出揃っているが)、全然期待していなかったブランドが予想外に素晴しいコレクションを披露している。逆に期待していたブランドが予想外に良くないということもあるわけで、今回に関しては少し流れが変わり始めている気配は感じた。個別のブランドについては別稿に譲ることにするが、個人的には、本命はMaison Martin Margiela、対抗がGivenchy、穴がundercover、chalayanという感じ。他にもかわうぃー服は山のようにあるよ。
 最近、Maison Martin Margielaという集団はやはりとんでもない組織であることを感じる。今更何を、という方も大勢いらっしゃるでしょう。がしかし、最近のMaison Martin Margielaには少しずつであるが変化を感じる。その変化が凄いし、変わっても変わらない事もまた同じ位凄い。いや〜ヤバい、まじで。
 あのメゾンで働いている人たちに何か質問したら、きっと一言一句違わない答えが返ってくるのではないかと思うほど、デザインについての同じ哲学を共有し、コンセンサスが取れていると感じる。もちろん内部では個性も当たり前のように尊重されているのだろう。でなければ、あんなに表情豊かなデザインは産み出されないはずだ。その上での、組織としての完成度の高さが、すべてのデザイン活動から見て取れる。カリスマ創業者なき後(死んだわけではなく、引退したのである)のmaisonの仕事には驚嘆するばかりだ。Maison Martin Margielaについては今後も小出しに書いていこうかな。
 唐突ですが、今月中旬から大阪の絶対領域という学生さんたちが企画運営するセレクトショップで、我々の服が販売される事になりました。SNSの威力爆発!笑 大阪方面にお住まいの方、またはちょうど東名阪ツアーのファイナルが大阪だよ、というバンドの方などお時間ありましたら、覗いてみてください。
Margielaのあとに告知ですいませんが、告知のためのブログでもありますのでご容赦を!
 じゃ、また。おやすみ。

2013年2月22日金曜日

ファッション界の女子会

  年明け更新をしていたと思い込んでいたら最終更新が昨年だったことに驚きが隠せない山中です。笑 今更ですが、今年もよろしくお願いします。
  今年、最低でも二回は皆様のお顔を展示会で拝見出来ることを楽しみにしています。
  もっと会いたいという物好きな皆様におかれましては、どうぞご連絡下さい。会うだけなら貨幣との等価交換は不要です。
 そんな戯言は程々にして、私達の展示会などに関してはもう少し先になるのでまだ何も書くことは出来ませんが、ファッション界はすでに今年の秋冬の新作の発表会がニューヨークで幕開けし、ロンドン、ミラノを経由して、今月末のパリがクライマックス。(東京もあるが、映画でいうところのエンディングロール程度なので除外)ということで全く需要はありませんが、大好評の勝手に雑談のコーナーです。
 既に閉幕したNYも悪くないけど、やっぱりパリですな。毎回心踊らされるコレクションがいくつもあります。まぁレディースについては出揃ってから書くとして、既に発表されているメンズコレクションについてですが、個人的にSarah BurtonによるAlexander McQueenが、群抜きで良かったと思います。
 WWDなどの大手メディアでは、PRADAやRAF SIMONSがメンズファッションの先取りしているとようなレポートを掲載しておりましたが、先んじることがそんなに偉いのかねと思うのと同時に、ドンピシャで当てることの素晴らしさはあまり評価されないのかと思ってしまいます。今でしょ、今。(最近TVでよく見る東進の国語講師は好きじゃないです。笑 ちなみに私は代ゼミの笹井先生が好きです。) 
 Sarah Burton率いるAlexander McQueenに関しては、McQueen本人がこの世を去り、彼女が後を引き継いだわけですが、本人の時代にも勝るとも劣らない仕事をしていると思います。(人によって見解は様々でしょうが、天才マックイーン亡き後の失望感が大きかった分、余計に素晴らしく映ります。) ロイヤルウェディングではキャサリン妃のドレスの制作をしたことでも有名です。
 McQueenが見せた、生命と等価交換で生み出された作品は圧巻で、そう言った創作には憧れますが、本当の意味で女性の時代と言われて久しい昨今、Sarah Burtonは"今"という時代に対応した”Alexander McQueen”を表現しているように思えます。McQueen本人の時代とは異なった女性性を感じます。
 とてつもないプレッシャーの中で、あの素晴らしいクリエーションを続けるだけでも尊敬に値しますが、現在妊娠中でもうすぐ出産、プライベートも大いに充実というリア充っぷり。
 CelineのPhoebe Philoや、Stella McCartney(元The BeatlesのPaul McCartneyの実娘)、GUCCIのFrida Gianniniなど仕事と家庭を両立している女性デザイナーの活躍が目立ちます。専業主婦志向が強い若い日本人女性の目にはどう写るのか。
 女性デザイナーと言えば、日本にはクイーン玲さんでお馴染みで、元祖カリスマ女性デザイナーの川久保玲氏がおりますが、川久保氏の場合、デザイナー兼社長であり、お子さんもいらっしゃらないので単純に比較は出来ません。(子供がいる=プライベートが充実という単純なことでもないです。念のため。)
 川久保氏はどちらかというとMcQueenと同じタイプのデザイナーであるように思います。ちなみにMcQueenは生前にComme des Garcons homme plusのランウェイをモデルとして歩いています。
 まあ、いずれにせよ川久保氏と比肩する日本人は時代的に考えてもこの先現れないと思います。現代に全盛期の王、長嶋のような国民的スターが現れないことと背景は同じです。
 川久保氏はさておき、 時代が変わっていることは間違いなく、日本では、サカイの阿部千登勢、トーガの古田泰子など、日本でも仕事とプライベートを両立する女性デザイナーが今後益々登場してくるでしょう。そして、女性デザイナーは妊娠・出産から育児という経験を糧として、新しいライフスタイルを得て、それをクリエーションに反映させていくのでしょう。女の人は恐ろしいです、もちろん良い意味でね。次はLeucadendronの勢井さんですかね。(笑)
 巷の女子会は死ぬ程つまらなそうですが、この人たちの女子会なら見てみたい。(笑)
 話が大分逸れましたが、今回のAlexander McQueenにはメンズで久しぶりにワクワクしましたし、トレンドもテクニックも現状への提言も盛り込まれ、"今"を感じることが出来るとても好きなコレクションでした。
さて、今月末のパリではどんな驚きがあるか今から楽しみですな。

2012年12月23日日曜日


 お久しぶりでございます。みなさんお元気でしょうか。そうですか、お元気の様で何よりです。
 展示会終了後、ホッとする間もなくウイルス性胃腸炎を発症し、虚弱体質とガラスのハートっぷりを見事に露呈してしまった山中です。早く強い体になりたーい。
 何時やらの展示会にお越し頂いた皆様、誠にありがとうございました。今更ですが、大変感謝しております。改めてありがとうございました。
 少々多めご注文頂いたばかりに、今も製作に追われています。良いモノを作ると、売れるのは良いけど作るのが大変でちょっとね。笑 どうせだったら、死ぬほど売れて工場に発注したいものです。
 展示会も終わり、選挙も終わり、今年も残すところ一週間ばかりになりました。
 展示会の告知を除いた前回の更新の際は、Raf Simonsによる新生Diorが素晴しかったことと、Comme des Garconsの変化についての勝手な深読みを書きましたが、もちろん特に反応はありません。笑 
 それはさておき、その際に、東コレ特に物議を醸していたたwrittenafterwordsのショーを中心として色々思う事があったので、書こうと思っていたのですが、時間が過ぎてしまい当時の忌々しい気持ちがもう僕の中から消えてしまいました。
 5月に行われたインスタレーションを当欄でディスったら思ったより反応があったので、その責任はきちんと果たそうとショーを観に行ったわけですが、いまだに思っているのは、今回は正直な所、現状維持か失いかけていた価値を取り戻したというのが実際のところで、真価が問われるのは実は次なんじゃないの?的なことです。 
 なぜなら、山縣さんが発表したものが、服であるかどうかみたいなことではなく、(見方は人それぞれでしょうが、個人的にはあれは紛れもなく服ではあると思いますが)あれを発表したことで「装う事の極限値を表現したかった」ということであれば、その力を以てして観客達にwrittenafterwordsの服を着たいと思わせ、実際に着てもらう事によってのみ、新たなコミュニティが生まれ、そしてファッションとして浸透して行くのではないかとどうしても考えてしまうからです。
 僕の考えが古いのかも知れませんが、少なくとも僕はファッションデザイナーにはそうであってほしいし、そうありたいと思います。
 ですので、writtenafterwordsがファッションブランドとして存在しているのであれば、あの様なショーとともに、それを観た人の、自らを装飾する欲望を満たすこともデザイナーの職責ではないかと思います。
 他は実際に見たわけではないので、あまり詳しくは書けませんが、全体的に、先日の選挙同様、皆さん右側がお好きな様な印象を持ちました。ただそれだけ。笑 気になるブランドは特にありません。終わり。
 来年も頑張ります。皆さんもお体には十分気をつけてよい年末年始をお過ごし下さい。
 一年間お世話になりました。また来年。バイバーイ。
 

 こんにちは、せいです。展示会が終わったら、それまでの1ヶ月ずっと聴いていたmoe and ghostsへの欲求がぴたりと止んでしまって、脳内音楽からっぽです。と、言いつつ実は普段音楽あんまり聴かないから苦ではないけど、ハマるの見つかると潤うので、潤いへの導き○求ム○
※ゆる募じゃなくてきゅう募:新しいのにダサくてパンキッシュだけど切なくてしおらしい、けど狙ってる音楽
ふーん、洋服そんなだけどなあという方の来場者を増やせるように、私たちはファッションでそういうお導きできると良いなあ、と思います。
と、いうことで、右傾も左傾もせず、真ん中を淡々と来年も頑張ります。

2012年11月12日月曜日

解禁


LEUCADENDRON presents "Experimentation"#2
- 誰も知らないミッシングセブン -


11/16(金)〜18(日)
12:00〜19:00
@nomadica >>map




展示会のお知らせ


展示会がいよいよ今週末に迫って参りました。
今回はこれまで前編・後編にわたって制作してきたミッシングセブンの幽体離脱地下研究所の番外編として、ミッシングセブンに焦点を当てた展示となります。
これまでの展示では明らかになっていなかったミッシングセブンの謎が今回明らかになるとともに、彼らをイメージしてデザインされた衣服を展示致します。
また、これまでの幽体離脱をテーマとした制作作品をベースとしたアイテムも多数ご用意しておりますので、今週末お時間がございましたら是非お越し下さい。お時間がない方は時間を作ってお越し下さい。
まじめになってしまいましたが、よろしくお願い致します。


2012年10月22日月曜日

シャーマンの萌さんとクイーンの玲さん


 このところ更新が全くございませんで、セルフ放置プレイにも飽きました。
更新していない間、尊敬している方がこのブログを見ていたという黒の衝撃以上の衝撃が僕を襲いまして、ちゃんと書かなきゃなぁと少しだけ思ってしまいました。そんなことではまだまだですな。
 そんなことはさておき、今回は先日観たライブと、これまた先日観たパリコレクション2013ssについてちと放談をしてみようかと。
 まずライブの方ですが、最初から最後までやられっぱなしで尚かつ非常にカタルシスのある素晴しいライブでした。Moe and Ghostsというヒップホップユニットで、ラップ担当の萌とトラック担当のユージーン・カイムによるゴーストコースト(彼岸)ヒップホップです。今年の8月(彼岸)に佐々木敦の音楽レーベルHEADZからアルバム『幽霊たち』をリリースしデビューしたばかりですが、さすがです。ゴーストコースト(彼岸)ヒップホップで、デビューが彼岸で、アルバムタイトルが『幽霊たち』って。笑 この時点でもう完璧でしょ。一瞬われわれLeucadendronの為に存在しているのではないかと錯覚するくらいのシンクロ率。
 ライブ前にググってもメンバーの写真はほとんどなく、ひょっとしたらほんとに幽霊かもしれないと期待が高まりましたが、佐々木敦曰く、ギャルでもガーリーでもない全く新しいヒップホップとのことだったので、まず着ている服を含めたルックスが気になって仕方がありませんでした。声などから色々と想像を巡らせていたのですが、目の前に現れた女性は見事に、軽やかに、そして力強く予想を超えていった。
 彼女は全身黒のモノトーンで、髪は地面に届かんとするほど長い小柄の年齢不詳の人で、とてつもない力を内に秘めたシャーマンのよう。パフォーマンスも新しさとピュアネスに満ち溢れた素晴しいものでした。
 良いものを観た後には必ず心が洗われた様な清々しさを感じますが、今回のライブでも大いに浄化されました。カタルシスがないと語る意味がないですからね!!!!笑
 萌さんと幽霊たち、それとゲスト参加し自称日本で100番目に巧いサックスを演奏していた大谷能生氏。本当に良いライブをありがとうございました。
 フロントアクトで蛍光灯の放電のノイズで演奏をしていた方も素晴しかった。是非何かでご一緒したい。You tubeなどでPVが見られるので興味がある方は是非。
 続いては、皆さん大好きなパリコレクションなどについて少々。興味ないですか?そうですよね〜。
 ここで何も知らない俺みたいな奴がファッションとその周辺の事を書くと意外と反応があるので、あまり気が進みませんがちょっとだけ。
 まず、はじめに今回はパリコレクションのいくつかのメゾン、ブランドに見られたアーカイブのアップデートという視点から見てみたいと思います。
 まずは、今回のハイライト中のハイライトと言っても過言ではないRaf SimonsによるChristian Dior
 RafによるDiorは本当に素晴しいコレクションでした。さすが!感動した!
 RafDiorに関しては、デビューとなるHaute CoutureにおいてもRafらしいDiorが表現され、賞賛されていたわけですが、今回のprêt-à-porterでもHaute Coutureの路線を踏襲しながらも、色使いや素材感にRafらしさがさらに色濃く反映されていて、写真からでも伝わるそのピュアネスに感動し、浄化されました。モードと呼ばれるファッションに興味を持つキッカケとなったデザイナーの中でも10代から憧れていたデザイナーがChristian Diorでクリエイティブデザイナーとして活躍しているのは何か感慨深い。
 このRafによるDiorにおいても、アーカイブの研究をベースとして、現代的にブラッシュアップしていることは、誰の眼から見ても明らかです。しかし、VogueでのインタビューでもRafは語っていましたが、アーカイブをどのように解釈するかというその視点にRafのらしさがあるのだと思います。表面的なデザインに留まらず、そのデザインに込められた意味やメッセージを丁寧に読み取るその審美眼と、そこに新しいエッセンスを加える事で現代的なものをデザインするということに関して、Raf Simonsはまた新たな可能性を示したと思います。今後のコレクションの楽しみが一つ増えました。
 そして、タイトルにもあるのでクイーンの玲さんこと川久保玲率いるcomme des garconsですが、一見するとCdGとしては可も無く不可も無く王道といった感じ。CdGにしては通常業務というか、特段驚きがあるようなコレクションではなかったのですが、ただ、今までのコレクションでは感じる事の無かったもの感じました。それに関しては後ほど。
 Graham Hudsonによる王冠のようなヘッドアクセサリーはコレクションとの親和性も高く、コレクション全体の完成度を高める事に大きく寄与していたと思いますし、何より個人的に好き。笑 服はレディースだし着られないけどけどあれは欲しい。笑 
 有名ファッションメディアはCdGらしいコレクションで良かったんじゃないかといった感じの論調(僕の英語力での斜め読みなので、誤訳の可能性と誤訳したいという意思が満ち溢れているので悪しからず)の様子。決して良くないということはなく、らしいコレクションでした。
 そして、僕が感じたCdGの今までにないものです。
 CdGについても、あまり詳しい指摘はされていませんのであくまで僕個人の見解ですが、今回川久保氏は、ある程度意識的にCdGが自らのアーカイブの再編集+αという形で新しいものを生み出そうとしたのではないかということです。
 ここで、この部分がいついつのコレクションからと指摘してもいいのですが、ただでさえ読まれないブログでそんなことしたらもっと読まれなくなるのでまた別の機会に書こうと思いますが、僕はこのことから、クイーン玲さんこと川久保氏が将来的に一線を退かれた後のことまでをも視野に入れ、新しいフェーズに入ったのではないかとも考えてしまいました。とは言ったものの、まぁ可能性は松坂がRedSoxに残留できるよりもゼロに近いでしょうし、この指摘が正しいかどうかは次のコレクションまで分かりません。もし当たってたら褒めてください。笑 
 いずれにせよ、そういった所に今までとは違った新しさを垣間見たように思います。
 他にも好きなコレクションはたくさんありましたし、エディのサンローランもあるし、東コレもあるので、近いうちにまた更新したいと思います。
 それでは。

2012年8月29日水曜日


前回の続きのような感じになってしまいますが、最近はよくこんなことを考えております。
 ファッションに限らず、現在モノが売れないと言われて久しく、それが常態となりつつあるようです。
 至る所で言及されていることで、ファッションに限ったことではありませんが、日本人は目先の利益ばかりに気を取られ、中・長期的な視点が欠けてしまっているように感じます。
 大変な時期だとは思いますが、逆に考えると、全世界的に考えると今まで大変じゃなかった時期なんて無かったと思うということを僕が好きなジャズミュージシャンが言っていましたが、これは本当にそうなんですよね。さらに言うと、困難さがないと新しい物は生まれてこないとさえ僕は考えます。こんな時代だから革新的なものが生まれるとも。
 これに少し関連していることで、以前にこのブログで少し書いたことがあることですが、ファッションの重さと軽さということについて、change fashionの中で、蘆田裕史というKCIのキュレーターの方がブログに書いていました。

一枚の絵画、一本の映画、一篇の小説などと比べると、一枚の服のもつ情報量はきわめて少ないです。たとえば映画であればプロットがあり、役者がいて、映像が次々に流れ、音楽がつけられ、と人間の感覚では認識しきれないほどの情報が詰まっています。映画について語る場合、あらすじを述べるだけでも10分や20分かけられます。一方で、衣服の場合は色、形──しかもほとんど定型がある──、生地の質感など、きわめて少量の要素しかありません。



このように、衣服はただでさえ情報量が少ないのに、近年隆盛しているファストファッションなどは、デザイナーの思想や、制作における職人的な手仕事など、さらに色々なものをそぎ落としています。これらはその意味で「軽い」服だといえます。

(これはファストファッションに限らず、「制作のコンセプトやテーマはありません。自分がかわいいと思うものを作っています」と言ってしまうようなデザイナーなどもそうです。)



一方で、衣服にできるだけ多くの情報を付与するようなデザイナーが現われています。その付与の仕方は、ASEEDONCLOUDのように(狭義の)物語を作ったり、Aski Kataskiのようにわざわざ蚤の市などで古い布を集めてきたりと様々です。軽い方へ軽い方へと向かう潮流に抗うかのように──とはいえ、本人たちにはそうした反骨精神のようなものがあるわけではありませんが──、彼等は服そのものに、あるいは服の背後にさまざまな要素──これを物語と僕は呼んでいるのですが──を加えているのです。

言い換えれば「重い」服を作っていること、それが選出のひとつのポイントです。
 
分かりやすいですね〜。笑 さすが大学講師!多分僕が書いている事と言いたい事はそんなに大きくは変わらないはずなのですが。以前も書いたように僕は衣服を中心とするいわゆるファッションの本質は軽さにあると考えています。それはもちろん、参照部分で蘆田さんが言及されていることも含みますが、もう少し本質的な意味においてです。
 そして、引用文中では軽さが消極的に記されているように感じますが、その軽さこそがファッションをファッション足らしめているのも事実ではないでしょうか。
 比較対象とされている、絵画、映画や小説に比べ圧倒的に人との物理的な距離が近く、興味の有無は別として、日常生活で必要不可欠な側面を有してる点において必然的に“軽く”ならざるを得ないとも言えます。だから、ファッションはその存在の内に耐え難き軽さを内包していると以前にも言及したのです。
 蘆田さんのおっしゃる「重さ」と「軽さ」の言説もこのことを前提に成立していると思うのですが。いかがでしょう。
 本来「軽い」ものにどのように意味や思想、哲学、また物語によって重さを与える事が出来るかどうかがデザイナーの仕事の一つだと思います。
“たかが服、されど服”鷲田清一氏のヤマモトヨウジ論の本タイトルですが、良い言葉ですな〜。